2019年8月28日 ITプロジェクトマネジメントの進め方について
カワテックではシンガポールで新規オフィス開設時やオフィス移転時に発生する「オフィスのITインフラ環境構築」のプロジェクトを多くのお客様にご提供してきました。
そこで今回は、カワテックが対応しているITプロジェクトを進める上で基礎となる考え方「ITプロジェクトマネジメントの進め方」について情報を共有したいと思います。
ITプロジェクトマネジメントの6W2Hを考える
「ITプロジェクトマネジメント」とは、ITインフラ環境構築のように明確な目標があり、いつまでに完了しなくてはならないという期限が決まっています。
明確な目標設定をするには、明確に頭の中にイメージを作っていく必要があります。
具体的なイメージ持つには最低限6W2H 【What, When, Where, Who, Whom, Why, How , How Much】を問いながら目標設定していく必要があります。
ITプロジェクトマネジメントのプロセスとは
ITプロジェクトマネジメントのプロセスとは、まずは「立上げ」を行い、次に「計画」し、その計画を「実行」していきます。しかし実行しても計画通りにいかない場合もあり「コントロール」する必要があります。
うまくプロジェクトが進むと最後に「完了」という流れになります、それがプロジェクトマネジメントの「プロセス」です、それが下記図の横軸の「プロセス」です。
そのプロセスの中に「スコープ」「コスト」「人的資源」「スケジュール」「リスク」「コミュニケーション」という対応しないといけない項目が下記図の縦軸の「対応項目」です。
ITプロジェクトエンジニアとは
プロジェクトエンジニアはこのプロセスの全体を担当し管理していく役目となります。
あらゆるITプロジェクトマネジメントの知識や技術、その遂行能力、人間性を通じて、「立上げ」→「計画」→「実行」→「コントール」→「完了」というプロセスの全体を担当し目標を期日までに達成し、プロジェクトの完了に責任を負う役割です。
下記図はプロジェクトマネジメントのワークフロー図です、全ての事項に対してプロジェクトエンジニアが管理していきます。
ITプロジェクトマネジメントは段取り八分仕事二分
仕事の効率化のために事前準備の大切さを説いたことわざに「段取り八分仕事二分」があります。
つまり段取りをしっかりとしておけば、その仕事の大半を占める8割は完了しているもの同然という意味です。
「段取り」はITプロジェクトマネジメントでいえば「計画」という下準備にあたり、ITプロジェクトマネジメントでも計画をしっかりしておけば、8割はプロジェクトが完了しているというぐらい計画は重要な作業となります。
計画時に目標設定をしっかり行い、チームメンバーに計画を共有し、その後に各チームメンバーに割り振られたタスクを各自が責任をもって実行して行きます。
スコープの定義とは
ITプロジェクトを計画するにあたり、プロジェクトの「スコープ定義」を事前に行ってから計画を進めていきます。
スコープとは作業や活動する範囲のことです。
ITプロジェクトを開始するとお客さんも含めた関係者から次のよう食い違いがでてきてしまいます。
- 「その内容、聞いていないよ」
- 「状況が変わったので、〇〇を追加してほしい」
- 「〇〇はやってくれると思っていたよ」
そのような食い違いを防ぐために、要件定義で出てきた情報から6W2Hで内容をさらに明確にし、さらにそれを見積書や提案書でスコープを明確に記述して、お客さんと事前に合意形成をすることで、食い違いなどの弊害の発生を軽減させることができます。
実際の作業ではプロジェクトで発生したスコープ(作業範囲)を1度で達成することは困難なので、スコープをタスクに細分化し、タスクをひとつひとつ達成することで、大きな目標を達成していきます。このスコープをタスクに細分化し、「何をするべきか」を導く技術をWork Breakdown Structure(作業分解図)といいます。
例:Work Breakdown Structure(作業分解図)を使ったインターネット回線の導入の例を見てみましょう。
下記の図のように、インターネット回線導入という「作業スコープ」を「タスク」に細分化することができます。
ITプロジェクトのガントチャートとは
スコープの定義が完了したら次にこの「何をすべきか」に「時間」という要素を加えていきます。つまり「いつ行うべきか」を明確にしていきます。これをアウトプットしたものが「ガントチャート」です。工程表とも言われています。
ガントチャートの中の情報とは?
カワテックではガントチャートの中に「スコープ」と「責任分担表」、「進捗情報」、「起こりうるリスク」、「スケジュール」の情報を入れていきプロジェクトの全体を管理していきます。
カワテックではガントチャート作成にはMicrosoft Projectというツールを利用しています。
<ガントチャートのサンプル>
それではガントチャートの中身をひとつずつ見ていきましょう。
スコープと細分化したタスク
スコープの定義を行う時に、すでに「何をするべきか」のタスクを洗い出していますので、そのスコープと細分化したタスクをガントチャートに入れていきます。
責任分担表
一番左にはプロジェクトエンジニアの名前を記載します。
プロジェクトエンジニアとは「立ち上げ」→「計画」→「実行」→「コントール」→「完了」というプロセスの全体を担当し、プロジェクトを期日までに達成させる役割です。
また各タスクで誰が何の役割を担っているのかを明確にしていきます、実行責任は1名に限定して、実行責任者を担う人を明確にしていきます。
進捗情報
これはタスクの進捗状況を表したもので、プロジェクトエンジニアが各タスクの進捗を確認し進捗率を入れていきいます。カワテックでは進捗率のルールとして下記のように3つの進捗状況のいずれかを入れるようにしています。
1)0%→未対応
2)50%→実行中
3)100%→完了
「起こりうるリスク」
プロジェクトの目標達成に影響を与えるリスクを事前に特定してきます。
リスクを特定するためにプロジェクトエンジニアはマネジャーやお客さん、協力ベンダーとインタビューや協議をして、多角的にリスクを洗い出して行き、そのリスクに対する対応策を考えて行く必要があります。
スケジュールの可視化
各タスクに対して、バーチャートを入れて可視化していきます。
事前にタスクを順序通りに上から下に整理していき、「このタスクが完了したら、次はこのタスクに着手するんだな」など直感的にスケジュールを確認できるようにしていきます。
このようにガントチャートで「スコープ」と「責任分担表」、「進捗情報」、「起こりうるリスク」、「スケジュール」などの最低限必要な情報をプロジェクトチームメンバー共有してプロジェクトの全体を管理していきます。
プロジェクトエンジニアはプロジェクトがスタートしたら、このガントチャートで常に変更や追加などをアップデートしていき、チームメンバーと共有してプロジェクトをコントロールしていきます。
以上がカワテックの基本的なITプロジェクトマネジメントの進め方となります。
次のチャプターではITプロジェクトを管理運営していく「ITプロジェクトエンジニアのリーダーシップ」について具体的にみていきたいと思います。